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【ウイルハーツ】梅花女子大学との産学連携プロジェクトを開始
グループ会社― 障がい当事者と学生が協同で考案するコミュニケーションツール ―


2025年9月、梅花女子大学と株式会社ウイルハーツによる産学連携プロジェクトがスタートしました。
ウイルハーツは障がい者の雇用促進を目的としたウイルテックグループの特例子会社で、印刷事業・Web事業などを展開しています。
このプロジェクトでは、障がいのあるウイルハーツ社員と、梅花女子大学心理学科の2年生(57名)が協力し、障がいのある当事者と接する為のヒントとして役立つコミュニケーション支援動画を制作します。
単なるツールづくりにとどまらず、一人ひとりの「自己理解」を深める機会となることが期待されています。
プロジェクト概要
学生とウイルハーツ社員が協同で、2025年後期 問題発見・解決セミナーⅡ全15回の授業を通し、企業で働く障がいのある当事者の「困りごと」や「苦手意識」に耳を傾け、当事者と接する際のヒントとなる動画を制作します。
職場で当事者と接する具体的なシチュエーションを切り取り、「どういう声掛けをすればいいいのか」「どう接すればいいのか」などが学習できる動画ツールの完成を目指します。
学生は、障がいのあるウイルハーツ社員に直接質問するなど、リアルな情報を取り入れながら、絵コンテやシナリオを作成。動画の素材になる音声の収録なども行っていきます。
ウイルハーツ社員は、学生の絵コンテやシナリオに沿って、動画に必要なイラストや写真、音声素材を使い制作を進めます。
背景
障がい者への理解を深める取り組みの背景には、日本における障がい者数の増加と雇用の課題が挙げられます。厚生労働省の最新の推計によると、日本における障がい者の数は2022年には1,000万人を超えています。特に精神障がい者は、2017年から2022年までの6年間で56.6%増加しています。
一方で、障害者雇用状況の集計結果によると、企業に雇用されている障がい者の数は過去最高を記録するものの、法定雇用率2.5%に対して、全体の実雇用率は2.41%と基準に満たない状況となっています。法定雇用率を達成している企業の割合は46.0%です。
定着率においても、精神障がい者の約5割が1年で会社を退職する状況となっています。

(出典:厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」
「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」
「2017年障害者の就業状況等に関する調査研究」)
生活のしづらさや苦労を抱える方々とのコミュニケーションを学ぶことで、障がいへの理解が深まり、ひいては、社会全体で障がい者が働きやすい環境を整えていくことにつながっていくのではないかと考えます。
10月1日 初回の対面授業
プロジェクトの出発点として、10月1日に梅花女子大学にて学生とウイルハーツ社員による初めての対面授業が実施されました。
授業では、会社紹介やプロジェクト趣旨の説明、質疑応答が行われ、ウイルハーツ社員が制作した、表情が動くアバターを使った自己紹介動画も披露されました。


質疑応答は、学生からの事前質問に答える形で行われました。障がいのあるウイルハーツ社員2名は、学生の前で話すことに緊張しながらも、質問に対して自らの経験や悩みも含め、心を込めて答えていました。
グループワークでは、学生たちがウイルハーツ社員の話を聞いて感じた素直な感想を積極的に共有し合い、活発な議論が交わされました。


ウイルハーツ代表・矢良上は、「学生の前での質疑応答は障がいのある社員にとっては、精神的に負担になるのではと心配もありましたが、社員がハキハキと挨拶し、学生の方々が真剣なまなざしで共感してくださる様子を見て、安心し、いよいよ始まるのだという期待感でいっぱいでした。」と振り返ります。
ウイルハーツ社員の声
Dさん
皆さん、こちらを向いて耳を傾けてくださって有難いなと感じました。
とても熱心にメモをとっていた方も居られましたし、授業後すぐに自分も障がいの当事者だと話しかけてくださる学生さんも居られました。
今回の産学連携を通して、勉強や今後の社会生活で何かのお役に立つことがあれば嬉しいです。
矢良上社長のお話に「自己理解」という内容が出てきましたが、私もまだまだ深められると思っているので、短時間にはなるかもしれませんが、お互いに何か得られるようないい機会になればと考えています。
Tさん
この度は貴重な機会をいただき、参加をさせていただきうれしく思います。
私たちの話に学生の皆さんも頷きや反応をして関心を持ってくださっていたので、話しやすくてとてもありがたかったです。
最後に学生の皆さんに、アウトプットの時間が設けられていた時、少し周りを拝見していたのですが、グループで熱心に話し合っていただいている様子でした。
それぞれのグループの中で、また個人として、今回私たちがお話ししたことで少しでも何かを感じ、意見を持っていただけた、考えるきっかけになったことをとても嬉しく思います。
学生からの声
参加した学生からは、障がい当事者への共感や自分自身への気づきなどの感想が寄せられました。
「困っていることも一人一人違っていて丁寧に向き合うことが大切だと分かりました」「自分のことを理解して他の人に伝えることで、自己理解を深めることが出来る」「障がいがある人の困っていることが、障がいのない私とあまり変わらない事を知った。そこから障がい者と健常者は別物ではなく延長線にあるものであると理解した」「すごく共感の嵐でした」など多数のご意見をいただきました。
初回授業を終えて
梅花女子大学 心理こども学部 心理学科 瀧本優子先生・塩谷尚正先生・福井斉先生
今回の対面授業は、疾患や障がいをしっかりと自分の言葉で語ってくださる社員さんのお話を伺い、学生にとっても良いスタートになったかと思います。
自らのコンディションと上手く付き合いながら仕事をされているメンバーの姿を通して、働くことの意味や自分自身の将来も含めた社会人としての姿を少しだけでもイメージできたのではないかと思います。
今回の産学連携が学生自身の「自己理解」の一環になることも期待して、みなさまと共々に作り上げていけたらと思います。
ウイルハーツ代表・矢良上
「学生さんからの、『社会人になる前に準備すべきことは?』と質問され、『自己理解を深めること、アウトプットすることが大切』とお伝えしました。多様な人と関わるこれからの社会で、自分を表現することに課題を抱える人が増えています。自身と向き合う時間を大切にし、今回の学びが社会に出る準備となれば嬉しく思います。皆さんと共に実り多い時間にしたいです。」

今後の展開
学生はウイルハーツ社員にヒアリングを重ね、コミュニケーションツールを考案し、その内容をもとにウイルハーツ社員が動画を制作していきます。3月には制作した動画の完成披露会が行われる予定です。
障がいのある社員と学生が協力し合う過程で、お互いに「関心」「共感」「思いやり」が生まれ、社会課題への取り組みだけでなく、心の成長にもつながる貴重な学びの場となることを目指します。
梅花女子大学では、専門力や実践力を養うカリキュラムが展開され、これまで数多くの企業とコラボレーションを重ねてきました。特に心理学科では、公認心理師や特別支援学校教員等を目指す学生が、人の心に寄り添いサポートできる専門家としての資質を磨いています。


株式会社ウイルハーツについて
ウイルハーツは、障がい者の雇用促進を目的としたウイルテックグループの特例子会社です。主に印刷事業やWEB制作事業を営んでいるほか、ウイルハーツの持つ事業ノウハウを活かした職場訓練も実施しています。
また、知的障がいや発達障がいのある方が、アニメ動画を通じて主体的にコミュニケーション能力向上に取り組める、学習用DVD『アニメでSST』 の制作・販売も行っています。
※ SST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)とは、社会生活に必要な対人関係を良好に維持するスキルを身につける方法の1つです。
学習用DVD『アニメでSST』はこちらからご覧いただけます。
https://www.w-hearts.jp/anime-sst/

また、社員のスキル向上のために毎年数人が全国アビリンピック(全国障害者技能競技大会)の地方大会に出場しています。2025年10月に愛知県で開催された「第45回全国アビリンピック」では、ホームページ部門で銀賞を受賞しました。
詳細は当社のnoteからご覧いただけます。
https://note.com/willtec_ir/n/n4400d776d807

以上
梅花女子大学について