外国人エンジニアと企業をつなぐ「RISE for」プロジェクト
ウイルテックでは外国人エンジニアと企業が、互いに直接アプローチできるダイレクトリクルーティングを実現。企業向けの「RISE for Business」と外国人エンジニア向けの「RISE for Career」、ふたつのWebサイトを連携させたマッチングサービスを提供しています。このプロジェクトがどのように始動し、形作られていったのか、その全容をチームメンバーに聞きました。
外国人エンジニアのキャリア構築と日本企業の雇用機会創出を目指して
「RISE for」プロジェクトは2004年より技能実習生の受け入れを始め、海外人財の活躍を支援してきたウイルテックだからこそ立ち上げることができました。全体の企画・構想を手掛けた担当者がプロジェクトの発端と構想、今後の展望を語ります。
- 「RISE for」プロジェクト 総責任者/海外事業部 部長
- 村上 真司
着想は、飛行機の中での会話から
「RISE for」プロジェクト立ち上げのきっかけは、宮城社長とミャンマー国内を移動する飛行機の中での会話でした。当社は実際に現地へ赴いて、技能実習生の受け入れやエンジニアの育成・採用活動を進めていましたが、来日までのプロセスは大変です。そのため、すべての日本企業、特に採用難である中小企業が同じプロセスを行うのは難しいのではないかと話題にのぼりました。
日本就職までにおけるトランザクション(取引)をできるだけなくし、日本企業と現地のエンジニアがお互いに時間と手間、コストを削減できるよう直接やりとりができないか。どうにか両者をつなぐ手段がないか。こういった思いからプロジェクトが始まりました。
ウイルテックではベトナムとミャンマーに現地法人を設立し、海外人財の日本での就職機会を増やすために研修やコンサルティングを行っている。
誰もが“正しい”働き方を。透明性とコミュニティ形成に注力
以前は外国人が日本で就職するまでに、仲介業者や関係機関などに支払いを求められ、本来なら不要なはずの多額の借金をして来日するケースが多くありました。そのため本プロジェクトでは価格設定や情報の透明性を重視し、もちろんセキュリティは守りながら、関わる方全員にできるだけわかりやすい設計にしています。
もうひとつ心掛けているのは、外国人エンジニアの方々のコミュニティをつくること。就職のさまざまなサポートや日常生活の情報交換などができるコミュニティを築き、それぞれの不安や不満、相談や解決策を共有し前進できるカタチにしていきたい。それらは“正しい”キャリアの積み方、就職の仕方、日本での生活、現地でのキャリア形成及びデザインにつながっていくと思います。研修などの学びの機会や、コミュニティ間でコミュニケーションをとれる場を設けるなど、どんどん大きく広げていく計画です。
アジア全域の大きな人財ネットワークへ
「RISE for」ではサービスの向上やWebサイトの質を上げるため、利用いただいている企業から情報をいただき、常々アップデートしています。
さらに当社では2025年には海外人財データベースを今の5倍である10万人にすることを目指しています。現時点での登録エンジニアは当社の現地法人のあるミャンマーとベトナムの方がメインですが、現在アジア全域での人財ネットワークづくりを行っているところです。今後も時代に合わせて、社会、外国人エンジニア、企業により求められ、それぞれのビジネスライフに寄り添える存在になるよう進めていきます。
「RISE for」Webサイトができるまで
「RISE for」プロジェクトに不可欠なのが、企業と外国人エンジニアをつなぐためのWebサイト。海外の現地法人で登録されていた人財データべースの整備など着々と準備が進められ、5名のチームでサイト制作がスタート。当時の様子などをメンバーに聞きました。
- サイト設計・企画・開発担当/海外事業部 Webサービス課
- 伊東 慧
- Webマーケティング・カスタマーサポート・現地スタッフとの調整を担当/ 海外事業部 Webサービス課
- ス・ミャッ・ノー・ルイン
プロジェクトチームに加わったときの思い
海外に関わる実務に初めて挑戦
私は前職がシステムエンジニアで、大学時代は海外に関わる学部で学んでいましたが、実務として海外に関わるのは初めてのことでした。ベトナムとミャンマーは自分と接点のない国だったので「自分にできるのか」という不安と、新しいこと、関心のある海外のことに挑戦してみたい思いと両方ありました。とにかく自分にできるところから頑張ってみようという気持ちでした。
自国の優秀なエンジニアにチャンスを与えたい
以前は事務の仕事をしていたので、最初は自分の経験とは全然違う業務になるので心配でした。でも「RISE for」プロジェクトは在日のエンジニアだけでなく、現地にいるエンジニアたちにもチャンスを与えられます。私の国のミャンマーにも優秀なエンジニアがいて「日本で勉強したい」という方も多いです。その方たちにもチャンスを与えられるので、私も一緒に頑張りたいという思いでした。自国のミャンマーにいたときに工科大学で日本語の先生をしていました。学生たちが日々頑張っている様子や意欲をよく知っているだけに、彼らにいい仕事に就いてもらいたいと思いました。
日本語や技術についての勉強に日々励むミャンマーの学生たち。
サイト制作や運用について
サイト制作は時間とTO DOの物量との勝負
Webサイト制作が正式決定したら、公開目標は約半年後というタイトさでした。スタートが決まった瞬間からやるべきことを洗い出し、猛ダッシュでした。私はシステムエンジニアではあったんですが、ウェブサイト構築に関わることは初めてで。今思えばプレッシャーを感じてもおかしくなかったと思うんですけど、感じるひまがないほど日々奔走していました。とても自分一人や自分の課だけでは太刀打ちできる内容ではなかったので、広報関連やシステム関連、法務関連など、他の課の方に泣きつくこともあり、本当にみなさんに助けてもらいました。
サイトを公開したときはほっとするよりも、「これからが本番だ」と気が引き締まりました。サイトの品質やサービスの向上、利用者の増加に向けて、今も新しい挑戦が続いています。
サイト制作の工程
- 構築
- 設計書を作成し、できたものをチェックするサイクルをひたすら繰り返す。開発はベトナムのシステム会社が担当。
- 試験運用
- 社内のみなさんに協力してもらったところ、フィードバックは300件以上! それらに優先順位をつけて1つずつ対応。
- 公開
- 試験運用フェーズでの対応が功を奏し、通常運用においては大きなバグなどなくスムーズに稼働中。
外国人にわかりやすい表現で、必要とされる情報を
私は外国人から見たときのサイトの使いやすさ、やさしい日本語の表現やサイトのデザインなどを一緒に考えました。「RISE for Career」では企業とのマッチングだけでなく、現在は毎月2回ウェビナーを開催し、日本で働くために必要な資格やスキルや日本で生活するうえでの知識などを海外にいるエンジニアに紹介しています。私の日本語教師の経験や、同僚のベトナム人のアインさんは入管について詳しいので、それらの知識を活かして情報を発信しています。今はコロナ禍で入国や出国が厳しい状況ですが、そのなかでも現地のエンジニアたちがどのような情報を持っていたらいいか、どのようなことをしたらいいかを伝えています。
今後はアジア全域という目標もあるので、さまざまな国のエンジニアに向けたウェビナーの開催や、エンジニアの声をインタビューしてみんなに共有していきたいと思っています。
「RISE for Career」サイトのコンテンツ「Live - Learn - Lead」では就職活動から日本の暮らしのことまで幅広い内容を紹介している。
チームではマーケティングをはじめ、Webの開発・運営や企業・外国人エンジニアのサポートまで「RISE for」プロジェクトのすべてを手掛けている。
「RISE for」のWebサイトは2021年の夏に公開し、現在の外国人エンジニアの登録数は約1万800人。すでに日本企業とのマッチングに成功し就職された方もいます。ただ現在はコロナ禍で入国が制限されているため、対象者は在日の方に限られている状況です。入国の規制が緩和されたとき、真価を発揮します。
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外国人エンジニアが企業の求人情報を閲覧でき応募可能。登録すると企業から直接オファーが届くことが期待できます。